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前編 後編



    ルルーシュはスザクに別のギアスをかけていたようです。

     前編


-STAGE18・式根島-

ルルーシュ「スザク、お前は生きろ! そして……オレを殺すな!」


-ゼロレクイエム1週間後・アッシュフォード亭-(ルルーシュ)

C.C.「ようやくお目覚めか、ルルーシュ。大変だったんだぞ? この1週間」

ルルーシュ「……C.C.」

 ここは……そうか、ミレイ会長の……。

ジェレミア「ご気分はいかがですか、ルルーシュ様?」

ルルーシュ「傷は痛むが……それ以外は問題ない」

 さすがはスザク……心臓の紙一重の位置を刺していたようだ……。

C.C.「ならば、お前の計画どおり……」

ルルーシュ「ああ……スザクを殺す。スザク達の知らない、真のゼロレクイエムを開始する!」

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-日時・場所-(主観の人物) 「普通の会話」『電話、通信での会話』で進行。

 TURN25以降のアナザーストーリー。アニメ上でルルが死んだ直後からのスタートで、その後のエンディングは無視しています。
 また、ギアスメンバーオンリーで、ナイトメア戦はほとんどなく、心理戦で進めていきます。

 なお、情報は公式、ウィキを参考にしています。マイナーだと思われる情報は補足していきます。

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C.C.「ルルーシュ、お前に聞いておきたかったことがある」

ルルーシュ「何だ?」

C.C.「この1週間世界を見ていたが……お前の狙いどおり、憎しみの連鎖から解放された人々は、多少の混乱はあれど、
    以前より良い生活を送っているように思える。ならば、なぜスザク……ゼロを殺す?」

 ……最初はそれでもいいと思っていた。しかし、ナナリー……スザクのもとに居れば安全かもしれないが……やはりオレが……。

ルルーシュ「今までのゼロはオレ……今はスザク……。オレでさえ結局手に負えなかった黒の騎士団、
       それをスザクにまとめられると思うのか?」

C.C.「ふ……もし出来なければ、スザクの近くにいるナナリーも危険だからなぁ、シスコン」

ルルーシュ「な……! おm」

アーニャ「変態……」

ルルーシュ「!? アーニャ……様……なぜここに!」

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 アーニャがここにいることなどオレの計画には……。だいたいこいつは、シュナイゼルの駒……!

ジェレミア「申し訳ありませんルルーシュ様。私が連れて参りました。彼女は98代皇帝のギアスにかかり、記憶がなくなっており、
       それを私がキャンセルいたしました」

アーニャ「私はマリアンヌ様に仕えていた。そしてマリアンヌ様が殺されるのを……」

 母さん殺害の目撃者……! それゆえにあいつのギアスにかかったというわけか。そして母さんに仕えていたということは……。

ルルーシュ「お前はオレに従う……と?」

アーニャ「分からない。記憶が戻って、何を信じるべきか分からなくなった。でも、今は……」

ルルーシュ「……まぁ、いい」

 問題があれば、ギアスをかけるだけか……。

ルルーシュ「とにかく……オレがスザクを殺す理由。あいつは、オレを二度もブリタニアに売った男……そんな奴を許せると思うか?
       あのゼロレクイエムは、オレを今にも殺そうとしていたスザクに、それをさせないため提案したもの……。
       もっとも、ギアスでそれは出来ないだろうが、どうせならば、世界のために利用したかった。
       だが、オレはもう一度……世界を壊す!」

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 現時点でオレに使えるのは、C.C.、ジェレミア、アーニャ……。駒はギアスでいくらでも増やせるが……。

ルルーシュ「C.C.、お前に確認しておきたいことがある」

C.C.「何だ?」

ルルーシュ「オレは、ゼロとしてギアスをかけた者、ルルーシュとしてギアスをかけた者がいる……。この場合、双方はどちらに従うことになる?」

C.C.「……ルルーシュ、お前にとって、今のスザクは何だ?」

ルルーシュ「質問に質問で……。……! いや……分かった」

 スザクは、今オレにとってゼロ……。それはオレ以外でも同様だろう。つまり、オレがゼロとしてギアスをかけた者はスザクに従うが……
そうでない者は従わない。となれば、現時点で黒の騎士団は内部抗争が多少なりとも起こっているだろう。
 また、前のゼロがオレであったと知っている人間……シュナイゼルのような者は、ゼロにではなく、オレに従う。
ゼロレクイエムの前に、スザクにはシュナイゼルはお前に従うと言ったが……それはないようだ。
 つまりギアスといえども、人の精神、肉体を超えることはできないということだ。それは、クロヴィスやコーネリアが母さんの死の真相を語れなかったこと、
シャーリーに”死ぬな”というギアスがかからなかったことからも想像できる……。
 これならば……。

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ジェレミア「ルルーシュ様。当面、私達はどのように動けば?」

ルルーシュ「そうだな……後1ヵ月は様子見だな。オレの傷が癒えるのを待つという意味もある。ただ、アーニャだけは戻れ。
       お前はオレの配下にいることは知られていないだろうし、モルドレッドは今後主戦力となる。整備を欠かすわけにはいかない」

アーニャ「……分かった」

ルルーシュ「そして1ヵ月経ったら……行動を開始する」

CC「で、その行動は? と聞いているんだ」

ルルーシュ「まずは、星刻(シンクー)……あいつには以前苦渋を舐めさせられた。まずはこいつからだ!」

 天子を利用すれば、落とすのは簡単だろうしな……。

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-同じ頃・黒の騎士団本部、ゼロの私室-(スザク)

カレン「内部抗争……頻繁に起こっているようね」

藤堂「それだけギアスにかかっていた仲間が多かった、ということだろう。どうするんだ、スザク君?」

スザク「とにかく、沈静化することです」

 カレンと藤堂さん……黒の騎士団内部でも、この2人だけは僕の正体を見破っていた。他のメンバーにも、自分は誰なのかと疑われはしたが、
枢木スザク、ということに行き着きはしなかった……。
 それにしてもルルーシュ……君はずっと、こんなに大変な役目を担っていたんだね。オレに出来るのだろうか……? ただ……。

スザク「……それより、1つ気になることがあるんです」

藤堂「何だ?」

スザク「オレにかけられた、ギアスのことです」

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カレン「スザクのギアス……”生きろ”だっけ?」

スザク「そうだ。それはこれまでの戦いではっきりと自覚している。でも問題は、僕にかけられたギアスはそれだけではないかもしれない、
     ということだ」

藤堂「ギアスを2度かけられたということか? だが、これまでの分析から、ギアスは同じ人物には1度しか効果を得られないと……」

スザク「いえ、”生きろ”というギアスをかけられたとき、同時にかけられた気がするんです。それは……”オレを殺すな”……
     つまり、ルルーシュを殺すな、ということです。ただ、式根島での一件は、ギアスをかけられたせいで、記憶が曖昧ですし、
     ”生きろ”のギアスとは違い、自覚できていない……」

カレン「”殺すな”……。……じゃあゼロレクイエムは!」

スザク「……もしかしたら、ルルーシュは死んでいないのかもしれない」

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 もっとも、仮にルルーシュが生きていたとしても、何かしてくるとは思えない。世界は、ゼロレクイエムのおかげで確実に良い方向に向かっている。
だが……ルルーシュは目的は恐らく……ナナリー……。だとすれば……。

スザク「勿論、その可能性はあまりないのかもしれませんが……」

藤堂「いや、あのルルーシュのことだ……。確かにゼロレクイエムで世界は変わった。それはルルーシュの力だ。
    だが、これまで黒の騎士団の仲間を駒としていたのも事実。ならば……」

カレン「……」

スザク「……何にしても、話はルルーシュが生きていて、行動を起こしてから、です」

藤堂「……そうだな。だが、このことは念のため、全体に通達しておこう」

スザク「……おねがいします」

 ルルーシュ……君は生きているのか? もしそうならば、何をしている?

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-1ヵ月後・合衆国中華-(星刻)

香凛「星刻様。近頃我らの同士となる者が急増しております」

星刻「ああ。これもあのゼロ……2代目のおかげといったところか」

 奴の正体は分からない……以前のゼロ、ルルーシュのようにオレ達の敵となるかもしれない。だが……少なくとも今は違う。
ならば、こちらからは何もしまい。

古「ただ、気になることが……」

香凛「新たに同士となろうとする者達の中に、天子様に謁見をしたいという者がいます。それも結構な数です」

星刻「天子様への謁見……」

※補足 合衆国中華…中華連邦の大宦官が殺された後に改名されたもの。
    香凛(チャンリン)…星刻の側近の女。
    古(グ)…星刻の側近のおっさん。

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 同士になる以上、天子様への忠誠は必須……。となれば、謁見の申し出は至極当然と受け取ることもできるが……。

星刻「申し出は断れ。その代わりに、同士全員が天子様からのおことばを聞けるような、会合の用意をする」

古「分かりました」

 まだ確信が持てないことを考えたくはないが……念を入れるに越したことはない。
 ゼロから通達があった、ルルーシュ生存の可能性……。もしこれが事実で、今回のことが、ギアスを用いて同士とし、
天子様に会う手段だとしたら……。少なくとも狙いは、オレだということになる……。

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-1週間後-

香凛「星刻様! 新規加入の同士達が暴動を! 天子様と直接会話させろと……!」

古「我が軍全体に比べたら大した数ではないので鎮圧は簡単ですが、他の同士達から不満があがるやも……」

 暴動……忠誠ということばだけでは説明がつきにくい行動だ……。となれば、本当に……。

星刻「……香凛、古。今からオレの言うことは、あくまで可能性の話だ」

香凛「何でしょうか……?」

星刻「今回の件、ルルーシュが……ギアスが関わっている可能性がある」

香凛・古「!」

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星刻「狙いはオレ……そのために、天子様に何かをしようとしている。以前、ルルーシュは天子様をさらった……。
    となれば、今回もその行動を起こしてくるかもしれない」

 天子様がオレの弱みだと知っている奴ならば、やりかねない……。

香凛「ギアス……それはつまり、同士達は操られて……」

星刻「勿論、それも可能性に過ぎない」

古「ですが、可能性といえど……。まずは、新規の同士達を一旦入れるのをやめるべきですかな?」

星刻「いや、その必要はない」

香凛「見逃せというのですか!?」

星刻「……軍……いや、全世界に、天子様が行方不明だと通達する」

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香凛「行方不明!?」

古「……どういうことですかな?」

 ギアス……個人的に分析してみたが、それは精神に強い影響を及ぼす力……。それがゆえに、その人物の能力、知識を超えることをさせるのは、
恐らく不可能。となれば……。

星刻「同士達をギアスで操り、天子様に会おうとする。それがルルーシュの策だ。となれば、天子様が居ないと、それは実行不可能になる」

香凛「それは、そうですが……」

星刻「また、天子様には、天子様の命を狙う輩から、身を守るためのものだと説明する」

古「ふむ……」

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星刻「さらに、この通達は、それ以上の効果を表すことになる」

香凛「沈静化以上の……?」

 ルルーシュがとりうる策……同士を操ること以外には、天子様の所在を知っているであろう人間に、その場所を問うこと。
ギアスを以ってすれば簡単なことだろうが……。

星刻「ギアスは、他人を操る力といえど、その人物が知っていないことを話させるのは恐らくできない。つまり、行方不明と通達すれば、
    それを聞いた人間は、天子様の行方が分からないと認識することになる。それは、今天子様の所在を知っている人間にも有効だ。
    ということは、仮に今天子様の居場所を知っている人間でも、その通達の後には知らないということに等しくなり、
    いくらギアスで操ったところで意味を成さないということだ。
    それがゆえに、この話はこの3人だけのものとなるが……」

古「なるほど……」

香凛「ですが、本当にルルーシュが関与しているのでしょうか? 考えすぎでは?」

星刻「最初に言った。可能性の話だと」

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香凛「……そうでしたね。では、この件をゼロに」

星刻「頼んだ。勿論、行方不明以上のことは伝えるなよ。策の意味がなくなる」

香凛「了解」

古「その原因などの説明はどうするおつもりで?」

星刻「そんなことは後でいくらでも説明が付く。それより今は、天子様にさっき言ったように伝えること、そして、
    必死で天子様を探す合衆国中華を演じることだ。これは一応、オレの失態ということになるのだからな」

古「天子様を崇拝する国民は……」

星刻「天子様はオレ達の下にいる。ある程度の期間が経てば、天子様が見つかった、そう通達するだけだ」

 ルルーシュの狙いは天子様……もう2度と、奴に天子様を渡すわけにはいかない……!

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-翌日・アッシュフォード亭-(ルルーシュ)

ジェレミア「ルルーシュ様!」

ルルーシュ「ああ、分かっている」

 ……どう考えても、天子が行方不明……この報道は嘘……。オレがギアスで送りこんだ者達の行動を見て、星刻がとった策……。
やはり、侮れない……! 合衆国中華の人間が混乱することも承知の上で、こんな大胆な策で来るとは……。

C.C.「どうするんだルルーシュ。あんな報道をされては、ギアスも意味を成さない」

ルルーシュ「それも分かっている!」

 C.C.の言うとおり、あの報道が嘘だと分かっていても、到底天子の場所と結びつきはしない。
 こんな策をとってくるということは、今天子が居る場所を知る人間は、星刻とごく僅かな人数だろう……。
そしてそれらの人間に近づくには、一筋縄ではいかない……。

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ジェレミア「アーニャを使うのはどうでしょう? 彼女ならば、中から探りを……」

ルルーシュ「いや、ダメだ。もし感ずかれたら逃げられるし、アーニャの使いどころはもっと先だ」

 天子の本当の所在を知るのはごく僅か……ならば、それを逆に利用できれば……。

C.C.「なんだルルーシュ。お前の真ゼロレクイエムはもう終わりか? あのゼロレクイエムの……
    あの騒動の中からお前を運び出すのにどれだけ苦労したのか分かっているのか?」

ルルーシュ「……ふっ……魔女のくせに苦などを気にするのか?」

C.C.「ふん……何だ、その様子だと、もう新しい策を考えたようだな」

ルルーシュ「当然」

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-3日後・合衆国中華-(星刻)

キャスター「超合衆国の中枢を担う国家である、合衆国中華の元首、天子様が行方不明になったと報道されて数日がたった今、
       新たな情報が入りました。天子様は、昨日未明、亡くなったとのことです。情報については確認中ですが――」

星刻「……」

香凛「星刻様、これは……!」

古「星刻様の策を、逆に利用された……!」

星刻「いや、利用などされていない。むしろ、何も出来ていない」

 そして、狙いどおりでもある……。

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星刻「天子様は死んでいない、ましてや、行方不明ですらない。ここにいる。
    いくら死んだなどという情報を流したところで、全く意味がない」

香凛「それはそうですが……。では、天子様の所在を明らかにするということですか?」

星刻「そうだ」

古「しかしそれでは、こちらがとった策も意味がないものに……。天子様が生きていることを通達するということは、
   結局また、我ら軍の人間がギアスの対象に……」

星刻「いや、それは違う。確かにオレは、皆をギアスで操られないようにと、天子様を行方不明とした。
    だが、本当の狙いはそこではない」

 やはりルルーシュ、お前は生きている……!

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-翌日・黒の騎士団本部-(スザク)

ゼロ「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが生きている……?」

カレン「どういうことですか、星刻さん!」

星刻「先日の天子様行方不明、死亡、という通達、報道は知っているな?」

ゼロ「無論だ」

星刻「前者はオレの策、後者はルルーシュの策だ」

扇「話が見えないんだが……なぜそれがルルーシュの策だと?」

 やはり、ルルーシュは生きている……? ならばオレは、”ルルーシュを殺すな”というギアスもかけられていたということに……?

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星刻「人の死を報道するとき、何が必要だ?」

カレン「その人の死体とか、犯人とか……?」

ゼロ「少なくともそれに付随する証拠は必要だな。もっともメディアは、捏造など簡単にするだろうが」

星刻「だが、天子様だ。一国の元首を、いかにメディアが軽いといえど、確たる情報がなければ報道はしない」

扇「確かに……」

カレン「でも、それが何で、ルルーシュが生きているということに?」

 証拠がない……あるはずもないのに報道された、ということは……。

ゼロ「ギアス……」

星刻「そうだ」

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星刻「報道関係者にギアスをかけ、あのような報道をさせた。それは、行方不明などとは違う、もっと大きい意味を持つ死……
    それによって国内を混乱させるためだろう。だがそれは、真実を知るオレ達にとっては何の意味も成さない。
    そして、真実……天子様が確実に生きておられるという事実は、証拠など絶対にあるはずがないということを意味する。
    つまり、この状況で報道をさせるには、ルルーシュが生きていて、ギアスを使った、としか言いようがない」

ゼロ「今回の策……それは、ルルーシュが生きていることを証明するためのものだった、と……」

星刻「今までお前からの、”ルルーシュが生きているかもしれない”という通達を受けたときから、その可能性について探っていた。
    そして今、その確証を得たというわけだ。ルルーシュが行動している以上、ギアス対策をしていかなければならない。
    今回通信ではなくここに来たのは、天子様の件を黙っていたことへの侘びだ」

ゼロ「分かった、ありがとう、星刻」

星刻「ではこれで失礼する。今回の件を、コーネリア皇帝代理やナナリー総督、合衆国中華の幹部達に報告せねばならんのでな」


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-1時間後・ゼロの私室-(スザク)

藤堂「ゼロ、私だ」

スザク「どうぞ」

藤堂「ルルーシュのことは聞いた……これからどうするんだ?」

スザク「どうするも何も、まだルルーシュがオレ達の敵として現れるのかどうか……」

藤堂「それもそうだが……ギアス対策だけはしておかないとならないだろうな」

スザク「そうですね。でも珍しいですね、藤堂さんがそんなことを言いに、わざわざ来るなんて」

藤堂「いや……私も正直混乱している。味方だったルルーシュが敵になり、だがそれは世界のためだった……とは……。
    そしてまた、もしかしたら敵に……」

スザク「……」

藤堂「それに、私がここに来たのはそれだけが理由じゃない。……シュナイゼルのことだ」

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 シュナイゼル殿下……ルルーシュのギアスにかかり、オレ達が何を言おうとも、何もしない……。
ルルーシュの命令がなければ動かない、ということだろう……。
 そして、ギアスを公に出来ない今、そんな状態の殿下を外に出すわけにはいかず、オレ達が隔離し、連れている……。

スザク「ルルーシュが動くとなれば、シュナイゼル殿下がそれに従い、オレ達に危害を加えるだろう、と……」

藤堂「そうだ。そろそろブリタニア本国に返し、その上でシュナイゼルの処理を決めるべきかもしれん」

スザク「どれも簡単な問題ではありませんね……」

藤堂「ああ。だがルルーシュは、それらの問題をことごとく解決していた。ギアスというペテンもあったのかもしれんが、
    今のゼロはスザク君、君だ」

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-15分後-

スザク「ルルーシュは、生きている……」

 そして、行動を起こしてきた……オレの悪い予感が……。

カレン「どうするの……スザク……?」

 藤堂さんが去った後少しして、カレンもこの部屋に来ていた。

スザク「分からない! でも、オレは……ルルーシュがまた現れるのならば……」

カレン「殺す……の……?」

 だが、ギアスのせいで、オレにそれはできない……!

カレン「スザク……今度こそあたしが、ルルーシュを止めてみせる! たとえ、殺すことになっても……!」

スザク「カレン……」

カレン「スザク! 今はあんたがゼロなのよ! しっかりしてよね!!」

 ああ、分かっているさ、カレン……。

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カレン「そうだ、それと……」

スザク「?」

カレン「ナナリーが明日、ここへ来るって……さっき連絡があったの」

スザク「……!」

 ナナリー……ルルーシュが死んで、一番悲しんでいたのは、間違いなくナナリーだ……。
 星刻さんの報告を受けて、いてもたってもいられなくなったのだろう。

スザク「分かった……カレン、ナナリーのことを迎えてやってくれ」

カレン「あんたは……?」

スザク「オレは……ゼロだ」

 もっとも、ナナリーなら気づいているかもしれないが……。

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-翌日・黒の騎士団本部-(スザク)

扇「ゼロ、大変だ、攻撃が!」

ゼロ「敵の数は!?」

 くそっ! ナナリーが来ているというのに……!

扇「分からないが……以前から起こっていた内部抗争が激しくなって、そいつらが攻撃を!
   それと少し離れた所に、サザーランド・ジークが!」

 サザーランド・ジークだと……!? ルルーシュ……君は……!

藤堂「ゼロ!」

ゼロ「今度は何だ!!」

※補足
 サザーランド・ジーク…ジークフリートを、サザーランドをベースに改造したもので、ジェレミアの機体。

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-同じ頃・蜃気楼内-(ルルーシュ)

ルルーシュ「ふっはっはっはっは、スザク、お前は今日ここで終わるんだよ! やはりゼロに相応しいのは、このオレだ!」

 この蜃気楼は、ロイドとセシルをギアスで操り、直させた。同様に、サザーランド・ジークや、CCの機体もだ。

ジェレミア『ルルーシュ様、こちらは完了致しました』

ルルーシュ「分かった。では、少し待機だ」

ジェレミア『イエス・ユア・マジェスティ』

ルルーシュ「C.C.、そっちはどうだ?」

C.C.『問題ない』

※補足
 C.C.の機体…ピンクのナイトメア。ランスロット・フロンティア。

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 ジェレミアには、ギアスキャンセラーを黒の騎士団全体へかけさせた。これにより、今までゼロにギアスで従わせていた者達の洗脳は解かれ、
その場から去るか、上手くすれば黒の騎士団へ攻撃を行うことになる。
 現時点で黒の騎士団の様子を見る限りでは、かなりの数が攻撃を行っているようだ。もともとゼロに反対する者にギアスを使っていた、
当然といえば当然だ。
 こちらは新たにギアスで洗脳した者もいるが、かなり数的に不利だ。しかし、こうなってくればそんなものは関係なくなる。

ルルーシュ「頃合かな……C.C.!」

C.C.『分かった』

 C.C.から通信が入ると、花火が上がる。黒の騎士団はこちらの攻撃かと警戒するだろうが、何の変哲もない、ただの花火。
 だが、これによって、動く者がいるんだよ……。ギアスキャンセラーが届かない場所に配置したあいつがな……!

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-昨日-(星刻)

 コーネリア皇帝代理、ナナリー総督への報告は終わった。後は、面倒な合衆国中華の幹部達だけ……。

星刻「報告にがありました、黎星刻です」

中華兵「どうぞ、お入りください」

 大宦官もそうだったが、幹部連中は話が合わない……。なるべく手早く済ませたいところだな。

幹部1「待っていたぞ、星刻」

幹部2「報告を聞こうか」

星刻「はい……」

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-2時間後-

 ようやく終わった……。

?「なるほど、そこまで考えているとは、さすがは星刻……」

星刻「! お前は……ルルーシュ……!」

ルルーシュ「そいつを捕らえろ」

幹部達・中華兵達「了解」

 な、なんだこれは……! くそ……数が多すぎる……!

ルルーシュ「いかに武帝といえど、幹部達や中華兵相手では手が出しにくかったかな?」

星刻「なぜお前がここにいる……!」

ルルーシュ「ふははははは! 天子にこだわりすぎたお前の負けだよ、星刻」

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ルルーシュ「星刻の顔をこちらに向け、目を開けさせろ」

幹部達「了解」

 ギアス……!

星刻「やめろ!」

ルルーシュ「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる……」

 天子……様……!

ルルーシュ「我に従え!」

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-その後-(ルルーシュ)

 星刻……お前は確かに優秀だ。だが、オレが天子を捕らえる、天子にギアスを使う、ということに固執したお前では、オレには勝てなかった。
天子の行方不明……その報道を聞いたとき、その考えはすぐに読めたよ。そして、オレの方針も決まった。
 星刻にギアスをかける。

 そうなれば、後は簡単だ。
 天子の死……そんな報道をされれば、天子の所在を明らかにせざるを得ない……もっとも、それゆえにオレが生きていることの証明をするとは、
思っていなかったが。
 だがそうなると、それまではしていなかったであろう、事の詳細を幹部達に話さなければならない。それがオレの狙い……。
 天子にのみ手を出す、そう考えていたお前は、オレが幹部達にギアスをかけることは考え付かなかっただろう……。

ルルーシュ「行くぞ、星刻」

星刻「了解……」

-----

-時間戻る-(ルルーシュ)

ルルーシュ「行け星刻! 黒の騎士団を潰せ!」

 通信は出来ない……だが、あの花火で、そのように動けと、星刻には命令しておいた。

ジェレミア『私達も行きます! 続け、皆の者!』

ギアスをかけられた兵達『イエス・マイ・ロード』

 黒の騎士団内部からの攻撃……そして星刻……。スザク……裏切りを続けてきたお前が、仲間の裏切りによって死ぬ……!

ルルーシュ「オレ達も行くぞ、C.C.」

C.C.『ああ』

-----

C.C.『……ん? ちょっと待て、何かおかしいぞ』

ルルーシュ「どうした?」

C.C.『星刻達の部隊が動いていない……?』

ルルーシュ「何? それはどういう……」

 刹那、画面上にあった星刻の部隊が、LOSTの文字に変わった。と同時に、黒の騎士団左すみのあたりで、光……爆発が見えた。
 あれは、星刻の部隊……!

ジェレミア『ルルーシュ様……これは……!』

ルルーシュ「何が起こっている!?」

-----

C.C.『星刻の部隊が全滅……?』

 何だ……いったい何が……!

pppp

ルルーシュ「……? オープンチャンネルだと……?」

?『久しぶりだね、ルルーシュ』

ルルーシュ「な……に……!?」

?『星刻隊長には、悪いけど退場してもらったよ』

ルルーシュ「しゅ……シュナイゼル!」

-----

ルルーシュ「なぜ貴様が……! お前は……」

シュナイゼル『なぜだろうね。急に自分がすべきことを思い出した、というのかな?』

 まさか……ギアスキャンセラーがあいつにも……! 
 だいたい、なぜシュナイゼルがここにいる!? とっくに本国送りだと思っていたのに! 
いや、そんなこと、今はどうでもいい……!

ルルーシュ「全軍! 攻撃対象が増えたが、作戦に変更はない! 行け!!」

シュナイゼル『そうだルルーシュ。僕は常々考えていたことがあるんだ、シャルル皇帝陛下がいなくなってからね。
        次の皇帝に相応しいのは……彼女だと』

ルルーシュ「な……ナナリー! お前まで、なぜそこに……! く……攻撃中止だ! 退けええええ!!」

 これでは、あの時……ダモクレスの時と同じ……! ナナリー!!


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