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    けいおん部でライアーゲームをするようです!

     第5ラウンド


第5ラウンド

@ライアーゲーム!!!!!

唯 さわちゃんのギターが50万円で売れました!
  さわちゃんは、その50万円を、ライアーゲームで勝った人にあげるといいました。

  参加者は、りっちゃん、澪ちゃん、ムギちゃん、あずにゃん、憂と、そして私です!

  これから5戦目の始まりです。

律「よっし、今回は私がゲームを紹介できる奴を呼んでおいたぜ!」

さわ子「」

律「かもん!」

エリ「ども、よろしく!」

アカネ「よろしくおねがいします」

エリ「よし、長くなるからちゃちゃっと説明始めるよ!
    私達が紹介するゲームは……」

同盟ゲーム

アカネ「”天使と悪魔ゲーム”を参考にして作ったんだ」
※マンガでは”感染ゲーム”

エリ「このゲームは、1ゲームごとに善ノ国の住人4人と、悪ノ国の住人2人に分かれてもらって、
    同盟を作って行くゲームだよ」

アカネ「リハーサルをしながらの方が分かりやすいと思うから……」

純「それでは、皆様の国を決定するために、カードを引いていただきます。
   6枚のトランプのうち、4枚がエース、2枚がジョーカーとなっています」

憂「エースが善ノ国で……」

紬「ジョーカーが悪ノ国ってことね!」

アカネ「準備がいいね」

エリ「姫子がオーラが違う子がいるって言ってたけど、あなたかっ!」

梓「やっぱり初めて見ると異質に見えるんですね……」

澪「これが普通だと思っている自分が恐い……」

エリ「カードを引いて確認したら、ディーラーに返してね」

アカネ「皆の国が決まったら、次は同盟を作るための交渉に入る。
     交渉というのは、自分以外のプレイヤーを指名することね。
     それを紙に書いて、ディーラーさんに渡してほしいんだけど……」

純「それでは用紙をお配りします」

エリ「早い……。
    ……この子どこで雇ったの?」

律「さわちゃんに鍛えられてこうなった」

さわ子「いえす!」

アカネ「……なんか先生のイメージが……」

エリ「で、みんな書いたかな?」

唯「書きました!」

エリ「よくできました! じゃあ、交渉相手を発表してください!」

純「それでは発表します。交渉の結果は、このようになります」

自分 ⇒ 相手 
唯 ⇒ 梓   澪 ⇒ 律
律 ⇒ 澪   紬 ⇒ 律
梓 ⇒ 唯   憂 ⇒ 唯

エリ「ありがとー。
    それで、自分の国と、交渉相手の国の組み合わせは、全部で4パターンあるよね。
    それによって、ポイントを得たり失ったり、自分の国が変わったりします!」

アカネ「まず、自分が善、相手も善の場合は、同盟成立。2P獲得で、最もいいパターン。
     次に、自分が悪、相手が善の時。自分が悪だから完全ではないけど同盟成立。
     1P獲得できる」

エリ「そして、自分が善、相手が悪の場合。
    このときは、善ノ国の住人は悪ノ国の住人にそそのかされ、
    悪ノ国の住人になってしまう。さらに、同盟が作れず1P没収。
    それで最後……最悪のパターンが、自分も相手も悪のパターン。
    悪ノ国の住人はお互いに悪いことを考えているから、同盟なんてできるわけがなく、
    戦争となってしまう。だから、10P没収」

律「10P!? めちゃくちゃじゃねーか!」

エリ「今言ったことをまとめるよ。
    T〜Wがそのパターンの名前で、数字が大きくなるにつれて
    悪いパターンってことになってるよ」 一時停止推奨

  自分 ⇒ 相手

 T 善 ⇒ 善 : 2P獲得
 U 悪 ⇒ 善 : 1P獲得
 V 善 ⇒ 悪 : 悪ノ国の住人となり、1P没収
 W 悪 ⇒ 悪 : 10P没収

アカネ「今みたいに、カードで国が決まった直後にやるのが、交渉@。
     このあとに、皆の国はそのままで、交渉A、Bに移るんだけど……」

エリ「交渉Bが終わるまで、皆の国やポイントの変動は公開しません!」

澪「なるほど……交渉A以降は、悪ノ国が増えているかもしれない……だけど
   それを確認することができない……」

憂「自分は最初は善ノ国だったのに、途中から悪ノ国なっていた、なんてこともありえますね」

梓「うわ……そうなってたら、最悪のパターンW(悪⇒悪)になる可能性が高くなる……」

エリ「そこが面白いところだよ〜。
    でも今はリハーサルだから、交渉@の結果を公開してもらおうかな」

純「了解いたしました。皆様の国、ポイントはこのようになります」

 唯:1P 悪ノ国  澪:2P 善ノ国
 律:2P 善ノ国  紬:2P 善ノ国
 梓:0P 悪ノ国  憂:0P 悪ノ国

梓「あ……私悪ノ国になってるじゃないですか! 最初は善ノ国だったのに……
   私が交渉したのは唯先輩だったので、唯先輩が悪ノ国を引いてたってことですね……」

澪「今悪ノ国は3人で、唯が最初から悪ノ国、梓が交渉によって悪ノ国になったということは、
   もう1人の最初から悪ノ国だったのは憂ちゃんってことか」

憂「そうです。私は悪ノ国でした。
   私はお姉ちゃんと交渉しているので、本当なら10P没収されていた……
   でも0Pということは、このゲーム、負の数にはならないってことですね」

純「私の独断でしたが、よろしかったですか?」

エリ「そのあたりはどちらでもいいよー。
    まあ最初からマイナス10Pってことになったら、
    テンション下がりまくりだからこれでいいんじゃないかな?」

紬「えっと……今の交渉の内容を整理すると、こういうことね」

 ○:善ノ国 ×:悪ノ国  T〜Wはパターンの番号

 ×唯⇒○梓  U:1P獲得
 ○澪⇒○律  T:2P獲得
 ○律⇒○澪  T:2P獲得
 ○紬⇒○律  T:2P獲得
 ○梓⇒×唯  V:悪になり1P没収
 ×憂⇒×唯  W:10P没収

梓「本来、交渉A、Bは自分の国の変動が分からないままやるんですよね……
   次に交渉するとしたら憂にするつもりでしたので……私はW(悪⇒悪)の最悪パターンに……。
   でもそれに気づかずにやってしまう……なるほど、こういうゲームか……」

律「自分の国に関わらず、とにかく交渉相手が善ノ国ならポイントゲット……
   だけど交渉Aより後は善ノ国が減っている可能性があるから……うわぁ……」

エリ「とまあ、この流れを3回……交渉@〜Bをやるのが、1ゲームってかんじかな。
    ちなみに、1ゲームの間に同じプレイヤーと2回以上交渉することはできないからね」

アカネ「それで……最初に15Pになったプレイヤーの勝利だよ」

唯「15P!? 多いね!」

エリ「そんなことないと思うよ? 1ゲームに得られる最大のポイントは6Pだから……」

紬「3ゲームあれば勝負がつく可能性はあるってことね」

澪「でも1P没収とか……最悪10P没収とかもあるんだ……今までより長くなりそうだな」

エリ「10Pにしちゃうと2ゲームで終わるかもしれないし、
    何人か同時にそうなる可能性が高いと思ったから15Pにしたんだけど……
    まずかったかな?」

律「まあ、でも3ゲームで終わるってことも十分ありえるんだろ。
   やってみなきゃわかんねーよ」

エリ「じゃあ、ルールをまとめるよ」


『同盟ゲーム』
 ・交渉によって同盟を増やしていくゲーム

 ・6人のうち、カードで4人の善ノ国、2人の悪ノ国を決める
 ・決めたら、1人ずつ自分以外の名前を書いて提出(交渉)

 ・自分の国、交渉相手の国の組み合わせパターンは4通り
  それぞれ以下のルールに沿ってポイント、国が変動する

  自分 ⇒ 相手

 T 善 ⇒ 善 : 2P獲得
 U 悪 ⇒ 善 : 1P獲得
 V 善 ⇒ 悪 : 悪ノ国の住人となり、1P没収
 W 悪 ⇒ 悪 : 10P没収

 ・ポイント、国の変動を公開せず、交渉を3度行う(交渉@〜B)
 ・3回の交渉後、そのゲームのポイント変動を計算する
 ・1ゲーム(交渉@〜B)の中で同じプレイヤーとの交渉はできない

 ・先に15P獲得したプレイヤーの勝利


アカネ「じゃあ、ゲーム開始は明日ね」

唯「同盟を増やすか〜、難しいなぁ」

律「とにかく善ノ国の奴とだけ交渉すればいいんだよ!」

紬「最初に善ノ国を引くことも大切ね!」

梓「うう……リハーサルの流れが悪かったから心配です……」

澪「……」

憂「……純ちゃん、さっきのカード、いつも使っているのと違ったよね?」

純「え? ああ、一応1つのゲームごとに違うのを使ってるからね。
   トランプを使うのはこれで4回目だから4種類目だよ」

憂「ジョーカーの絵かわいいよね!」

純「普通のトランプと同じようなものだと思うけど……平沢家の感覚は分からんな……」

律「……」

律(善ノ国と交渉すればいいってことは……やっぱりここはグループだよな!)

律「澪! 組もうぜー!」

澪「……。
   律、悪いが組めない。というより、今回は誰とも組む気はない」

律「……え……?」

律(誰とも組まない……? 意味が分かんねーよ……
   組まないでやっていけるゲームじゃないのに……!)

憂(やっぱり澪さんも気づいているようですね……このゲームの特性を)


-田井中家-

律「……マジかよ……」

律(嘘だろ……ムギにも梓にも、グループを組むことを断られた……!
   しかも……)

律「危険を承知で唯にも連絡したのに……そっちにも断られた……」

律(マジでやべえ……他の奴、組まないでやれる方法を考えたってことなのか……?
   私は何も思いつかないっ……どうしたらいいんだっ……!)

-平沢家-

憂「お姉ちゃん、今回も一緒に頑張ろうね!」

唯「うん! だけどさ、なんで澪ちゃんはりっちゃんの誘いを断ったのかな?
   私だって、このゲームはグループを作らないと勝つのは難しいことは分かるのに」

憂「そうだね。澪さんもグループを作るつもりだと思うよ」

唯「え……? でも誰とも組まないって澪ちゃんが……」

憂「……このゲームはね、組んでいるグループを知られると不利になる……
   というより、他の人達が有利になるんだ。だから、澪さんはあの場で組まなかった。
   でもたぶん、あの後誰かと組んだはずだよ」

唯「ええ……? よくわからないよ……。
   だけど、私と憂が組むことは澪ちゃんも分かっていると思うから、
   やめたほうがいいってこと?」

憂「うん、確かにそれは不利になるけど、利用することもできる……。
   とにかく、絶対に澪さんは誰かと組むから……最初は、それを見つけないとね」

-----

A

-翌日・部室-

純「それでは、1ゲーム目を開始いたします」

エリ「うわー、なんか緊張感あるなー」

アカネ「私もやってみたいな」

律「……」

律(マジでどうすりゃいいんだこれ……。
   私は今までの全てのゲームでグループを組んできた……孤立するなんて初めてだ……)

憂「……」

憂(澪さんは、当然お姉ちゃんと私とは組んでいない。
   そしてこのゲーム……組むとしたら3人がいい。私とお姉ちゃんは2人だけどね……。
   となると澪グループは、梓ちゃん、紬さん、律さんのうちの2人と構成していることになる)

紬「勝てますように〜」

梓「どうなるかな……」

澪「……」

澪(……昨日律にはああ言ったが、私はグループを組んだ……私、ムギ、梓の3人と。
   このゲームは、グループがバレると不利になる……憂ちゃんは、私がグループを組む……
   それを想定してくることは間違いない。
   私が律と組むことは読まれやすいから、あえて律ははずした。
   もっとも、グループは序盤で割れてしまう可能性が高いけど、それでも最初からバレていては話にならない。
   あとは、憂ちゃんがどう組んでいるか……唯、律との3人グループか、
   それか唯とだけの2人か。でも、2人グループでは問題点がある……。
   なら、3人グループの可能性が高い……はずなんだけど、
   どうも憂ちゃんは唯とだけしか組んでいない気がしてならない……
   まあ、今考えても分かることじゃない。

   もう1つの可能性としては、私、ムギ、梓の誰かと組み、
   こちらのグループを利用することだが……契約書でそれはできなくしてある。
   もちろん、サムキャップの確認もした、今回の契約は揺るぎない)

純「皆様の国を決定いたしますので、カードを引いてください」

唯「私一番!」

憂「あ、待ってよお姉ちゃん!」

梓「善ノ国を引きますように……」

紬「ようにー」

澪「……」

律「……」

純「皆様の国が決定いたしました。交渉@は10分後に開始いたしますので、
   10分以内に交渉相手の名前を用紙に書き、提出してください」

澪(私は善ノ国……そして、ムギと梓は悪ノ国……か。
   直接話すと組んでいることがバレてしまうから、私達は自分の国を伝えるサインを決めておいた。
   カードを引いたあと、カードを持っていない方の手を開くか握るか……
   開いていたら善ノ国、握っていたら悪ノ国を意味する。

   そして私達は、グループ内に何人悪ノ国がいるかによって、
   最初に交渉する相手をあらかじめ決めておいた)

-早朝・部室-

澪「悪いな、こんな朝早くに集まってもらって」

梓「いえ、ゲームに勝つためですから」

紬「この時間ならりっちゃん達はいないからね」

澪「で、何でこの時間に集まってもらったかというと、交渉@の相手を決めておくためだ」

梓「……それは私達の中でやればいいんじゃないですか?
   私達はお互いに自分の国が分かるんですから、何かサインを決めておけば……」

澪「サインは確かに決める……けど、それだけじゃあダメだ、グループを組んでいることがバレる」

紬「……それ、昨日も言っていたわね……。だから私は、りっちゃんから組まないかと言われたとき、
   誰とも組む気がないから……と言って断ったけど……」

澪「グループを組んでいることがバレると、他の奴が有利になってしまう。
   でもそれは、交渉A、Bの話だから、後で説明するよ。
   今大事なのは、交渉@……ここで他の奴らにグループがバレないようにするか、
   もしくは交渉A、Bでのヒントをなくすか、どちらかをするための交渉相手の決め方だ」

梓「あれ……”どちらか”ってことは、グループがバレてもいい、ってことですか?」

澪「そうだな……というより、グループがバレないことはつまり、交渉Aで他の奴に
   ヒントを与えない……ってことになる」

紬「……。
   うん、なるほど……なんとなく澪ちゃんの言いたいことが分かったわ」

梓「私もなんとなくですが……じゃあ、交渉@の相手を決めないといけませんね」

澪「ああ……どうせグループが割れるのは時間の問題だから、
   グループが割れていない序盤……そこでいかに差をつけるかが勝負になる。
   このゲームで勝つためにすることは、@ポイントを稼ぐ、A他の奴にポイントを取らせない、の2つ。
   @はそんなに難しいことじゃない……私達はグループを組んだんだから、誰が善ノ国かはすぐ分かるから。
   Aは、一番簡単なのは自分達が悪ノ国を引かない……
   つまり他の奴らが悪ノ国を引くことだけど、こればかりは運だからな」

梓「悪ノ国は、善ノ国の半分しかポイントが得られませんからね」

澪「そう。だから一番いいのは、私達3人全員が善ノ国であること。
   でも、そう簡単にはいかないよな。で、二番目にいいのは、
   私達3人のうち、2人が悪ノ国であることだ」

紬「え……悪ノ国であることは大きなハンディになるんじゃ……」

澪「これは、さっき言ってたAの、他の奴にポイントを取らせないことに繋がる。
   私達の中に2人とも悪ノ国がいるんだ、それ以外の4人は善ノ国であることが確定するから、
   いろいろ動きやすくなる。
   それに、私達は3人なんだ、1人でも善ノ国がいれば問題ない」

梓「そうですけど、そのとき善ノ国だった人が、次は悪ノ国を引いてしまうかも……
   そうなると、ポイント獲得が遅れてしまうんじゃ……」

澪「簡単なことだよ。1人は確実に善ノ国がいるんだ、
   一番ポイントが多い奴が悪ノ国を引いてしまったら、
   善ノ国とカードを交換すればいい。
   鈴木さんは6人全員がカードを引いた後回収して、
   回収したとき初めて皆の国を確認する。
   だから、回収の前に交換してしまえばいい」

紬「なるほど……禁止されていないものね!」

澪「で……交渉@の相手なんだけど……」


-1ゲーム目・交渉@-

純「皆様の用紙が提出されました。
   交渉内容を発表いたします」

澪「……」

澪(今回、私達のグループの中に2人悪ノ国がいるから、
   二番目に良いパターンということになる……。
   ただ、ここで早くも、憂ちゃんにグループがバレる可能性がある……が、
   これはいい。どうせすぐにバレる。
   あとは律の動き次第……憂ちゃん達と組んでいるならどうしようもないけど、
   もし組んでいないのなら……律が誰を交渉相手にするかによって、
   どれだけ憂ちゃんを邪魔することができるか決まる)

純「交渉@の結果は、このようになります」

自分 ⇒ 相手 を意味する

唯 ⇒ 憂   澪 ⇒ 憂
律 ⇒ 澪   紬 ⇒ 唯
梓 ⇒ 唯   憂 ⇒ 唯

純「交渉Aは10分後に開始いたしますので、
   10分以内に交渉相手の名前を用紙に書き、提出してください」

澪「……」

澪(やっぱり唯と憂ちゃんは組んでいる……だからお互いを交渉相手にしている……。
   私のグループ内に2人悪ノ国がいるから、
   唯と憂ちゃんが2人とも善ノ国であることは間違いない。

   そして、律はその2人とは組んでいないことが分かった。
   なぜなら、2人は善ノ国なんだから、律が組んでいるとしたら、
   律はその2人のどちらかを交渉相手にするに決まっている。

   ただ、憂ちゃんのポイント獲得を邪魔するという観点からすれば、
   律の選択は悪い方になってしまった。
   ……まあ、このパターンでも、憂ちゃんは交渉Bで困ることになるな……。

   しかし気になるのは……グループのこと……唯と憂ちゃん、2人組とはな……。
   2人組……確かに唯と憂ちゃんならありえたけど、それには問題点があるのに……)

憂「……」

憂(なるほど……たぶんこの交渉結果によって、交渉Bでお姉ちゃんと私は
   困ることになる……そのためにグループ内ではなく、私達を交渉相手に選んだ……。

   だけどその代わり、澪グループの3人が明らかになった。
   さっきの交渉では、澪さん、紬さん、そして梓ちゃんが
   お姉ちゃんか私を交渉相手にしたのに対し、律さんだけが澪さんを選択した……。
   お姉ちゃんと私が組んでいるのはバレバレだろうから、
   私達のどちらを交渉相手にしても同じことで、律さん以外の3人が
   同じ行動を取った……つまり組んでいるということになる。

   逆に、私達と律さんが組んでいないことも澪さん達は分かったはずだから……
   悩んでいるだろうなあ……2人で組むことは、ある場合で困ることがあるから、
   それを私がどう考えているんだろう、って……)

梓「あれ……?」

梓(おかしい……このゲームは3人以上で組まないといけないのに、
   唯先輩と憂は2人組だ……。

   私達は3人で組んでいるから、国決めでどういうふうになっても、
   交渉@で困ることはない。

 3人組:3人とも善ノ国→ グループ内の誰とでも交渉可
     1人が悪ノ国 → 悪ノ国はグループ内の誰でも交渉可
                    善ノ国はお互いに交渉
     2人が悪ノ国 → その2人以外誰でも交渉可

   だけど、2人組の場合……。
   2人とも善ノ国か悪ノ国ならいいけど、1人が善、1人が悪の場合……
   善の方は交渉相手を確定できない……。

 2人組:片方が善ノ国 → 悪ノ国は相方と交渉
     両方が善ノ国 → お互いに交渉
     両方が悪ノ国 → 自分達以外と交渉

   グループは、交渉@を確実に善ノ国とするためのものなのに、
   2人組ではそれができない可能性がある……)

澪「く……」

澪(分からない……憂ちゃんなら、2人組の問題点に気づいていないはずがない……
   何かあるのか……? 戦略が……!)

-----

B

梓(唯先輩と憂……2人組は問題点がある……)

澪(憂ちゃんが問題点に気づいていないはずがない……何か戦略があるのか……?)

唯「ねえ憂……これって、交渉Aでは私達は誰と交渉すればいいの……?
   昨日憂が言ってた、澪ちゃんグループを利用するのってできないんじゃ……?」

憂「そうだね……だけど、もしかしたらという程度になるけど、私に考えがあるんだ」

唯「え……?」

憂「まず、澪グループの方は、何でお姉ちゃんと私を選んだんだと思う?
   グループを組んでいたら、お互いの国が分かるのに、それを選ばなかった、その理由」

唯「私達の国が分かってたってこと……? でも私達と澪ちゃんグループは組んでいないよ?」

憂「もちろん組んではいないけど、お姉ちゃんの言うとおりだよ。
   澪さん達は私達の国が分かっていた……なぜなら、
   澪グループ内に、悪ノ国が2人ともいるからだよ。
   もし悪ノ国が1人以下なら、悪ノ国の危険性があるグループ外の人は選ばない」

唯「あ、そっか! ということはりっちゃんは善ノ国だったってことか……。
   あ、でも……りっちゃんは澪ちゃんと交渉しちゃったよ……?」

憂「そうなんだよね。
   澪さんが善か悪かは分からないから、律さんの国も不明。
   だけど……私の推測が正しければ、この2人はたぶん、善ノ国だよ」

唯「それってどういう……?
   じゃあ交渉Aの相手はりっちゃんってこと?」

憂「……念のためお姉ちゃんは紬さんにしてもらっていいかな」

憂(証拠はないし、もしかしたら見当違いかもしれない。
   だけど、今頼れる情報はこれしかない……)

律「……」

律(おい、なんだよ交渉@の結果……私以外皆、唯か憂ちゃんを選んでるじゃねーか……。
   あの2人は絶対組んでる……ってことは、どっちを選んでも同じようなものってことだ。
   ってことはなんだ? 下手したら、私以外の5人で組んでるってことにっ……!

   いや、さすがにそれはないだろうけど……どう考えてもグループはありそうだ……。
   私だってグループを作りたかったのに……みんな断りやがって……。
   組んでるじゃねーか、やっぱりっ……組んでたら、私も善ノ国を選べたのにっ……!)

律「ん……?」

律(あれ……ちょっと待て……グループを組んでれば、組んでる奴の国が分かるんだ……
   ってことは、グループ内の交渉相手は、絶対に善ノ国を選ぶはず……!
   だから、どういうグループがあるかは分からないけど、少なくとも交渉相手になっている唯と憂ちゃんは
   確実に善ノ国っ……それは間違いないっ……!)

律「あ……!」

律(そうか、だから澪の奴……私とグループを組むのを断ったんだっ……!
   グループ内での交渉は、必ず善ノ国と行う……でもこれは、グループ外の奴に
   ヒントを与えることと同義っ……! いや、ヒントなんかじゃない、確定情報っ……!

   よって、グループがあることがバレると、他の奴を有利にしてしまうっ……
   実際私は、グループを組んでいないが、交渉A、Bではほぼ間違いなく善ノ国を
   選ぶことができる。

   だからあんな場面で……グループを組むことを皆の前で行う……そんなことは愚の骨頂っ……
   やってはいけない最低の行為っ……!
   そんなことをしているから私は澪に切られたっ……バカだ、私はっ……!)

律「だけど、今やるべきことはっ……!」

律(まず交渉A、Bでは唯と憂ちゃんをそれぞれ選ぶ。
   そして2ゲーム目以降……どういうグループがいるのか暴くことっ……!)


-1ゲーム目・交渉A-

純「皆様の用紙が提出されました。
   交渉内容を発表いたします」

澪「……」

澪(この交渉A……憂ちゃん達はどう動くか……。
   律は、このゲームの特性……グループを組んだ奴らを利用できるという点に気づいていれば、
   唯か憂ちゃんと交渉するはず。

   そして私達……私達はそれぞれ、唯か憂ちゃん、交渉@で交渉しなかった方とそれを行う。
   これによって唯と憂ちゃんは、交渉Bもノーヒントで行うことになる……)

純「交渉Aの結果は、このようになります」

自分 ⇒ 相手 を意味する

唯 ⇒ 紬   澪 ⇒ 唯
律 ⇒ 唯   紬 ⇒ 憂
梓 ⇒ 憂   憂 ⇒ 律

純「交渉Bは10分後に開始いたしますので、
   10分以内に交渉相手の名前を用紙に書き、提出してください」

憂「やっぱりこうなるよね……」

唯「やっぱりって?」

憂「交渉Aの結果……」

自分 ⇒ 相手 を意味する

交渉@     交渉A
澪 ⇒ 憂   澪 ⇒ 唯
紬 ⇒ 唯   紬 ⇒ 憂
梓 ⇒ 唯   梓 ⇒ 憂

唯「あ……また澪グループの中で誰も交渉してない……!
   これじゃあまた誰が善ノ国なのか分からないよぉ!!」

憂「そう……。
   だから、交渉Aと同じく、交渉Bもヒントがないんだ」

唯「あ……だけどさっき憂は、澪ちゃんとりっちゃんは善ノ国だって言ってたよね……?
   あれはどういう意味なの?」

憂「……お姉ちゃんは、お姉ちゃんが澪グループに入っていたとすると、
   誰を勝たせようと思う?」

唯「え……そりゃ、澪ちゃんじゃない?」

憂「そうだね。たぶん、梓ちゃんと紬さんも同じことを考える。
   そしてグループの人数が3人なら、絶対1人は善ノ国になれる。
   だから、澪さんが悪ノ国を引いても、善ノ国を引いた人と交換してしまえば、
   澪さんは善ノ国になれて、ポイントを多く獲得できる」

唯「……だけど、交換する素振りなんてなかった……」

憂「交換する必要がなかったんだよ。澪さんが善ノ国を引いたから。
   ……でも、これは根拠のない推測……1ゲーム目から最も悪いパターンになっちゃった、ってことだね……。
   これが2ゲーム目以降なら、カードを交換する素振りが見れたかもしれなかったけど……」

唯「それで私は、さっきムギちゃんと交渉することになったんだ……」

憂「そう、ごめんねお姉ちゃん……もし私の推測が当たっていた場合は、
   紬さんが悪ノ国……それと交渉したお姉ちゃんも、悪ノ国ってことになる」

唯「謝る必要なんてないよ! 勝てる可能性を広げてるだけなんだもんね!」

憂「……ありがとう、お姉ちゃん!」

唯「じゃあ次は、私はあずにゃんと交渉するよ。
   憂は澪ちゃんだね!」

-1ゲーム目・交渉B-

純「皆様の用紙が提出されました。
   皆様の交渉内容を発表いたします」

澪「……」

澪(さて、平沢姉妹が誰を選んだか……)

純「交渉Bの結果は、このようになります」

自分 ⇒ 相手 を意味する

唯 ⇒ 梓   澪 ⇒ 律
律 ⇒ 憂   紬 ⇒ 澪
梓 ⇒ 澪   憂 ⇒ 澪

澪(……憂ちゃんは、交渉A、Bの両方で善ノ国を選んだか……。
   私が善ノ国であると読める要素はなかったはずだけど……。
   ……いや、まあ仕方ない。まだ1ゲーム目だし、同点になっているだけだ)

純「1ゲーム目が終了いたしました」

澪(……えっと、交渉パターンはこんなかんじで……)

交渉パターン一覧

  自分 ⇒ 相手 パターンの数字が小さいほど良い

 T 善 ⇒ 善 : 2P獲得
 U 悪 ⇒ 善 : 1P獲得
 V 善 ⇒ 悪 : 悪ノ国の住人となり、1P没収
 W 悪 ⇒ 悪 : 10P没収

澪(最初はムギと梓が悪ノ国だったから、1ゲーム目の交渉の流れはこうなっているはず……)

○:善ノ国 ×:悪ノ国

交渉@      交渉A      交渉B
○唯⇒○憂 T  ○唯⇒×紬 V  ×唯⇒×梓 W
○澪⇒○憂 T  ○澪⇒○唯 T  ○澪⇒○律 T
○律⇒○澪 T  ○律⇒○唯 T  ○律⇒○憂 T
×紬⇒○唯 U  ×紬⇒○憂 U  ×紬⇒○澪 U
×梓⇒○唯 U  ×梓⇒○憂 U  ×梓⇒○澪 U
○憂⇒○唯 T  ○憂⇒○律 T  ○憂⇒○澪 T

純「現在の皆様のポイントはこのようになります」

現在のポイント

唯:0P 澪:6P
律:6P 紬:3P
梓:3P 憂:6P

澪(うん……そうなるよな。現状最大となる6Pに達しているのは3人か……)

紬「……やっぱり最初から悪ノ国だと、かなり不利になってしまうわね……」

梓「ポイント半分ですからね……」

純「それでは、2ゲーム目は30分後に開始いたします」

律「……」

澪「憂ちゃん……今は同点だ……だけど……」

憂「勝負はこれから、ですね」

-----

C

純「1ゲーム目の結果は、このようになります」

現在のポイント

唯:0P 澪:6P
律:6P 紬:3P
梓:3P 憂:6P

澪「憂ちゃん……今は同点だ……だけど……」

憂「勝負はこれから、ですね」

-2ゲーム目前インターバル-

澪「……しかし驚いたよ、憂ちゃん」

憂「……グループの件ですか?」

澪「そう。まさか、2人組とはね……てっきり、唯と律との3人で組むかと思っていた」

憂「そのセリフ、自分達のグループ構成を暴露したに等しいですよ?」

澪「どうせ憂ちゃんは、交渉@の段階で私達のグループがどうなっているか分かっていただろ、
   問題ない」

律「……」

律(うわ……私分かってなかった、ラッキー……!
   これで交渉相手が楽に選べる……か……?
   でも、澪と憂ちゃんのグループが利用できるのは交渉A、Bだけだ……。
   交渉@……グループを組む最大のメリットはここにあるんだ……。
   だって最初に悪ノ国にならなかったとしても、交渉@で悪ノ国の奴と交渉してしまったら、
   得られるポイントが激減する……。
   だけど私はグループを組んでいないし、ここからグループを組むことも難しいっ……!
   だから、交渉@で選ぶ相手……それだけは運否天賦っ……!
   1ゲーム目は運よく善ノ国である澪を選べていたけど……次はどうなるかっ……!)

律「……もう私の味方は鈴木さんしかいないってことだな……」

純「……私は誰の味方でもないんですけど……」

エリ「ところでさ……ゲームを考えたのは私達だけど、こんなに考えないといけないゲームだったんだね……」

アカネ「解説をしてもらわなかったら、ただ皆適当に交渉しているだけかと思った……」

梓「解説? 私達はほとんど話していないのに、誰が……純?」

純「私はディーラーはできても、正直ゲームをするのは難しくて無理……」

紬「先生……は、ずっとお茶を飲んでいたし……」

さわ子「ん?」

「私よ」

唯「あ!
   和ちゃん!」

和「ずっといたのに、ひどいわね、皆」

和(まあ、今までのことを考えて、こっそり忍び込んでただけなんだけどね……)

エリ「真鍋さんすごいよ、交渉@を見ただけで、どういうグループがあるのか言い当てて、
    交渉AとBも、始まる前に誰と誰が交渉するか分かってたし……」

アカネ「しかも、どれもその理由の説明が論理的で分かりやすかった」

和「これくらいはなんてことないわ。生徒会長として」

律「生徒会長は関係ないだろ……」

唯「でも和ちゃんはなんでここに?」

和「私は見学しに来ただけよ……次のゲームのために……ね」

澪「次のゲーム……?」

和「とにかく、今の私はただの見学者、そして解説者ってとこね。
   皆、ゲームは始まったばかりだから勝負は分からないわ、頑張ってね」

和(やっぱり憂と澪……この2人がゲームの主導者ね……そして現状、さほど優劣はついてない。
   さて、どうなるのかしらね……)


-2ゲーム目開始-

純「それでは、2ゲーム目を開始します。
   皆様の国を決定いたしますので、カードを引いてください」

唯「今度も私いっちば〜ん!」

律「ああ、ずるいぞ唯ばっかり!」

憂「律さん」

律「……ん?」

憂「お姉ちゃんの次は私のものです」黒にっこり

律「……は、はひ……」

澪「……!」

梓「次こそ善ノ国を……」

紬「ひけますように!」


-澪グループ-

澪「……グループが完全に割れたし、もう普通に話してもいいな」

紬「そうね!」

梓「あ……あの……」

澪「ん?」

梓「すいません私……また悪ノ国になってしまいました……」

紬「それはしょうがないわよ。それに、私達のグループに悪ノ国が1人しかいないということは、
   憂グループにとってよくない展開……唯ちゃんと憂ちゃんのどちらか一方のみが
   悪ノ国ということもありえるわ。そうなれば、どちらか一方は、交渉@で困ることになる」

澪「……残念だけど、それはない」

梓・紬「……え?」

澪「さっきの国決め……それで分かったことがある。
   私はずっと気にかかっていたんだ……なぜ憂ちゃんは2人組なのか」

梓「はい、それは私も考えていました……このゲームでは、3人組が必要……」

澪「ああ……だけど、あの2人には必要なかった……なぜなら、絶対に悪ノ国を引かないから」

紬「え……どういう……」

澪「とりあえず、交渉@でそのことを確認する。
   それと梓、その悪ノ国カード、私に貸してくれ」

梓「え? それは澪先輩が悪ノ国になるということですか?」

澪「いや、違う。たぶんこの2ゲーム目は、私と憂ちゃんが同点で終わることになる。
   となると3ゲーム目……そこが勝負。だから、あらかじめ手を打っておく」

-律-

律「……!」

律(このカード……まさか……)

純「皆様の国が決定いたしました。交渉@は10分後に開始いたしますので、
   10分以内に交渉相手の名前を用紙に書き、提出してください」

-2ゲーム目・交渉@-

純「皆様の用紙が提出されました。
   交渉内容を発表いたします。交渉@の結果は、このようになります。
   グループの存在が明らかになったので、グループごとに表示いたします」

自分 ⇒ 相手 を意味する

唯 ⇒ 憂   憂 ⇒ 唯

澪 ⇒ 紬   紬 ⇒ 澪
梓 ⇒ 澪   

律 ⇒ 澪

純「交渉Aは10分後に開始いたしますので、
   10分以内に交渉相手の名前を用紙に書き、提出してください」

-澪グループ-

澪(……やっぱりそうか……)

梓「唯先輩と憂がお互いに交渉したってことは、どっちも善ノ国ってこと……
   澪先輩の言うとおり、本当に2人は悪ノ国を引かない、ってことでしょうか?」

紬「でも、2人が2ゲーム連続で善ノ国を引く……それくらいなら、偶然と言える気がするけど……」

澪「いや、あの憂ちゃんだ、戦略もなく問題点のある2人組なんて作るはずがない。
   唯と憂ちゃんがカードを引くとき、何か気づいたことはなかったか?」

梓「気づいたことですか……? えっと、2ゲーム目だったら、憂が律先輩を押しのけるかんじで、
   唯先輩の次にカードを引いたことが少し気になりましたが……」

紬「あとは……2人とも、少しカードを引くのを迷っているような感じはしたけど……」

澪「そう、それだ。
   まず梓の言ったこと……あの2人は、どうしても最初に引きたかったんだ。
   次にムギの言ったこと……カードを選んでいたんだよ、善ノ国のカードを。
   あいつらがカードを引くとき、カードの縁の部分を撫でるようにしていた……
   恐らく、善ノ国カードの縁の部分に傷がつけてあるんだ。2人分……つまり2枚に」

紬「……善ノ国しか引かないことが分かっているから、2人組でも問題なかった……」

梓「そういえば憂、昨日のリハーサルの後、使っているカードがカワイイとか言って、
   純にカードを見せてもらってましたけど……あのときに……!」

澪「なるほど……それは私は見ていなかった……さすが梓だな」

梓「あ……いえ……」

澪(唯と憂ちゃんが善ノ国を引くことは分かっていたが、
   今回は念のため……そして確認のため、交渉は私達のグループの中で行った……
   これによって、平沢姉妹は交渉A、Bが楽になってしまうだろう。
   しかし私の戦略によって、3ゲ−ム目に憂ちゃんのポイント獲得を邪魔することができる……。
   この2ゲーム目は、お互い6P獲得し、12Pに達成するだろう……
   となると、3ゲーム目が勝負だ……!)

-----

D

-澪グループ-

澪(唯と憂ちゃんは、カードの縁に傷をつけ、それを選ぶことで悪ノ国を引くことはなかった……。
   私も憂ちゃんも、2ゲーム目終了時には12Pになるはず……となると、3ゲーム目が勝負……!)

澪「私達のグループ内では、梓が悪ノ国……そして、唯と憂ちゃんが善ノ国ということは、
   もう1人の悪ノ国は律。交渉Aでは、梓はムギを、私とムギは唯を相手にしよう」

紬「了解!」

梓「分かりました!」


-憂グループ-

唯「憂、次はどうすれば?」

憂「交渉@で、澪グループでは梓ちゃんが悪ノ国と分かっているから、2人で澪さんを
   交渉相手にしようね」

唯「分かったよ〜。
   でもすごいよね、縁のところに傷をつけてるだけなのに、簡単に分かっちゃうなんて。
   しかも、見た目だとぜんぜん分からないし〜」

憂「それがいい所だよ。しかも、肝心の傷付カードは私達が先に引いてしまうから、
   他の方には分からない」

唯「そうだね!」

憂(この2ゲーム目、私は勝利へリーチをかける……そして、3ゲーム目に勝負を付ける……!)


-ぼっち-

律「……」

律(どうなってんだ、これ……。
   まあいい、とりあえず澪グループを選んでおけばいいか……梓が悪ノ国っぽいから、
   次はムギかな……)

-2ゲーム目・交渉A-

純「皆様の用紙が提出されました。
   皆様の交渉内容を発表いたします。交渉Aの結果は、このようになります」

自分 ⇒ 相手 を意味する

唯 ⇒ 澪   憂 ⇒ 澪

澪 ⇒ 唯   紬 ⇒ 唯
梓 ⇒ 紬   

律 ⇒ 紬

純「交渉Bは10分後に開始いたしますので、
   10分以内に交渉相手の名前を用紙に書き、提出してください」

-澪グループ-

紬「やっぱり憂ちゃん達は、澪ちゃんを選んできたわね……。
   そして、交渉Bでは私かしらね」

梓「これは仕方ないですよね、いくら澪先輩が、憂の仕掛けたトリックに気づいていたとしても、
   1ゲーム目と違って、私達の中に2人悪ノ国がいるわけじゃない……
   何かの間違いで、唯先輩か憂が悪ノ国である可能性もあったわけですから、
   確実に善ノ国である、私達の中で交渉するしかなかった……」

澪「まあ、1ゲーム目でこうならなくてよかった、そう思うべきだな。
   1ゲーム目のおかげで、唯のポイント獲得を邪魔することができたわけだし」

梓「そうですね」

紬「交渉Bでは、3人とも憂ちゃんを交渉相手に選べばいいわよね」

澪「そうなるな」

-平沢姉妹-

唯「憂先生!」

憂「はい、平沢さん!」

唯「次は、ムギちゃんを選べばいいですよね!」

憂「なぜそう思ったんですか?」

唯「はい、澪ちゃんグループでは、澪ちゃんとムギちゃんが交渉相手に選ばれているから、
   2人が善ノ国だからです! 澪ちゃんはさっき選んだからね〜」

憂「うふふ、そうだね、お姉ちゃんの言うとおりだよ」

唯「えっへん!」

憂「でもねお姉ちゃん。それ、1つだけ間違っていることがあるんだよ」

唯「え……?」

憂「ひとつ、大事なことを忘れているよ?」

唯「どういうこと?」


-でこぐるーぷ-

律「……」

律(ちょっと待て……よく分からなくなってきたぞ……
   私は誰を選べば……)


-2ゲーム目・交渉B-

純「皆様の用紙が提出されました。
   交渉内容を発表いたします。
   交渉Bの結果は、このようになります」


自分 ⇒ 相手 を意味する

唯 ⇒ 律   憂 ⇒ 律

澪 ⇒ 憂   紬 ⇒ 憂
梓 ⇒ 憂   

律 ⇒ 唯

澪「……!」

澪(何……? なぜ憂ちゃんは律を選んだ……?
   まさか律が悪ノ国であると気づいていないのか……!?
   まあいい、好都合だ……これでポイントに差がついた……!)

純「1ゲーム目が終了いたしました」

澪(交渉パターンはこうで……)

交渉パターン一覧

  自分 ⇒ 相手 パターンの数字が小さいほど良い

 T 善 ⇒ 善 : 2P獲得
 U 悪 ⇒ 善 : 1P獲得
 V 善 ⇒ 悪 : 悪ノ国の住人となり、1P没収
 W 悪 ⇒ 悪 : 10P没収


澪(このゲームの流れ……最初の悪ノ国だったのは、梓と律だったんだから……
   こうなるか)

○:善ノ国 ×:悪ノ国

交渉@      交渉A      交渉B
○唯⇒○憂 T  ○唯⇒○澪 T  ○唯⇒×律 V
○憂⇒○唯 T  ○憂⇒○澪 T  ○憂⇒×律 V
○澪⇒○紬 T  ○澪⇒○唯 T  ○澪⇒○憂 T
○紬⇒○澪 T  ○紬⇒○唯 T  ○紬⇒○憂 T
×梓⇒○澪 U  ×梓⇒○紬 U  ×梓⇒○憂 U
×律⇒○澪 U  ×律⇒○紬 U  ×律⇒○唯 U


澪(ということは、ポイントはこう……)

唯:3P 澪:12P
律:9P 紬:9P
梓:6P 憂:9P

澪(私が断トツってことになるのか……しかし、やっぱり交渉Bで、平沢姉妹が律を
   選んだことが気になるな……)

純「現在の皆様のポイントはこのようになります」

唯:1P 澪:0P
律:9P 紬:0P
梓:0P 憂:9P

純「それでは、3ゲーム目は30分後に開始いたします」

澪「……」

梓「……え?」

紬「……0P……!?」

澪「……な……何!?」

梓「じゅ、純! なんで私達が0Pになってるの!?
   これって、悪ノ国が悪ノ国を選ぶ最悪のパターンWになって、
   マイナス10Pにならないと、なりえない数字だよ!?」

紬「私達は善ノ国の人としか交渉していない……それに、
   私は梓ちゃんと違って善ノ国だったのに……おかしいわよ」

澪「わ、私だって……」

澪(そうだ、私だって最初は善ノ国で、交渉は善ノ国としか行っていない……。
   そして、交渉@では善ノ国であるムギを選んだ……次の交渉A、Bでは、
   互いに交渉し合っていて、善ノ国であることが分かっていた平沢姉妹……。

   ……待て、ムギは本当に善ノ国だったのか!? 私がカードを見たのは自分のと梓のだけ……
   善ノ国だと自分で言っていたムギにはあまり注目していなかった……!
   私は交渉@でムギと交渉しているのだから、そこで悪ノ国になってしまった……。
   そして梓は、ムギと交渉したことによってパターンWに……!

   そうだ! だから交渉Bで、平沢姉妹はムギを選ばなかった……!
   つまり、最初に悪ノ国だったのは梓とムギ……よって、律が悪ノ国であるというのは、
   私の勘違い……そしてそのことを知っている……つまり、ムギと組んでいるあの2人は、
   交渉Bで律を選んだんだ……!)

紬「いったい何が……」

澪「ムギ、もういい、演技をしなくても」

紬「……え?」

澪「憂ちゃん達と組んでるのはもう分かった」

紬「み、澪ちゃん、何を……!」

澪(……カードの傷……あれすら、2人組ではなく、実はムギを含めた3人組である……
   それを隠すためのフェイクだったということか……!
   でも、まだ挽回できる……3ゲーム目……ここからが本当の勝負だ……!)

-----

E

純「2ゲーム目の結果はこのようになりました」

現在のポイント

唯:1P 澪:0P
律:9P 紬:0P
梓:0P 憂:9P

澪「ムギ、憂ちゃんと組んでいるのは分かっている……」

澪(カードの傷でさえ、憂ちゃんの戦略……ムギと組んでいることを隠すための……!)

紬「待って澪ちゃん、何のことだか分からないわ!」

澪「だってこの状況、おかしいだろ……ムギが本当は悪ノ国だったのに、
   自分は善ノ国だと嘘をついた……そうとしか考えられない……!」

梓「……!
   待ってください澪先輩! 澪先輩の言っていること、おかしいです!!」

澪「……梓……?」

梓「澪先輩らしくないです! よく考えてみたら、ムギ先輩が嘘をついている……
   そんなことはないって分かります! だって、仮にムギ先輩が悪ノ国だとしたら、
   2ゲーム目の交渉結果はこうなりますよね?

交渉@      交渉A      交渉B
○澪⇒×紬 V  ×澪⇒○唯 U  ×澪⇒○憂 U
×紬⇒○澪 U  ×紬⇒○唯 U  ×紬⇒○憂 U
×梓⇒○澪 U  ×梓⇒×紬 W  ×梓⇒○憂 U

 これだと、確かに私はパターンWとなっているので、0Pになってしまいます。
 でも、澪先輩もムギ先輩もパターンWにはなっていないので、0Pにはなりえません!
 それに、ポイントを見てください……

唯:1P 澪:0P
律:9P 紬:0P
梓:0P 憂:9P

 憂が善ノ国を引き、善ノ国の人としか交渉していないとしたら、
 1ゲーム目終了時6Pだった憂は、また6P獲得で、12Pになっているはずです!
 でも、憂の今のポイントは9P……2ゲーム目では3Pしか獲得していないってことになります!」

澪「……!」

梓「だから、落ち着いてください澪先輩!」

澪「……ごめん、梓……」

澪(……梓の言うとおりだ……焦って推理を誤った……。
   憂ちゃんの2ゲーム目での獲得ポイントは3P……ということは、

交渉@      交渉A      交渉B
○唯⇒○憂 T  ○唯⇒○澪 T  ○唯⇒×律 V
○憂⇒○唯 T  ○憂⇒○澪 T  ○憂⇒×律 V

   私の最初の予想どおり、憂ちゃんは善ノ国で、交渉@、Aでは善ノ国と交渉……
   そして交渉Bでは、悪ノ国である律を選んでしまったことによって、
   1P没収……結果2ゲーム目の獲得ポイントは3Pとなる。

   いや待て!
   そうなると、唯も3P獲得していないとおかしい。
   だけど、唯の1ゲーム目終了時のポイントは0P……そして今は1P……
   1Pしか増えていない……! ここから考えられることは、ひとつ……!)

澪「ムギ……ごめん。冷静さを失っていた。全部私の勘違いだったんだ……本当にごめん……」

紬「ううん、分かってくれればいいのよ。でも、これって何が起こっているの?」

澪「……ありがとうムギ。
   今この状況を作ったのは……憂ちゃんだ。
   憂ちゃん……憂ちゃんは、最初に悪ノ国を引いたんだな?」

憂「……そうです、澪さん。
   私は澪さん達が、私は善ノ国だと勘違いするように動いていました」

梓「憂が善ノ国じゃなかった……!?」

紬「あ……ということは……!」

憂「はい、澪グループの方全員が、交渉BでパターンWになってしまいます。
   私が悪ノ国だった場合、2ゲーム目の流れはこうなります」


交渉@      交渉A      交渉B
○唯⇒×憂 V  ×唯⇒○澪 U  ×唯⇒○律 U
×憂⇒○唯 U  ×憂⇒○澪 U  ×憂⇒○律 U
○澪⇒○紬 T  ○澪⇒×唯 V  ×澪⇒×憂 W
○紬⇒○澪 T  ○紬⇒×唯 V  ×紬⇒×憂 W
×梓⇒○澪 U  ×梓⇒○紬 U  ×梓⇒×憂 W
○律⇒○澪 T  ○律⇒○紬 T  ○律⇒×唯 V

唯「ええええ!? じゃあ私、途中から悪ノ国になってたってことぉ!?」

憂「ごめんねお姉ちゃん……お姉ちゃんまで騙していたことになるから、
   私はさっきまで、罪悪感で自殺する寸前だったよ」

エリ・アカネ(自殺……!?)

唯「ううん、憂の作戦だったんだよね、ならしょうがないよ!
   私が知っちゃってたら、澪ちゃんに気づかれていたかもしれないし」

憂「ありがとう、お姉ちゃん!
   ……このゲームは、グループを組むことがバレると不利になる……
   なぜなら交渉結果によって、国がバレてしまうから……。
   澪さん達は、お姉ちゃんと私が組んでいることは分かっている。
   そして、その私達が交渉し合ったことによって……2人とも善ノ国であると
   思い込む……これが私の狙いでした。
   国決めのとき、私は悪ノ国を引いてしまったので、少し困ったんですが……
   逆にそれを利用することにしました」

憂(……なんて、本当はわざと悪ノ国カードを引いていたんだけどね……。
   私は、善ノ国カードにはカードの縁の、長い辺……つまり左右に傷をつけていた。
   これは、カードが上下逆になっても対応するため。
   そして、悪ノ国カード……このカードは短い辺……上下に傷をつけてあった。
   だから、私は意図的に好きな国を引くことができるようになっていた……)

澪「交渉Bで、憂ちゃん達が律を選んだとき……私は、梓と律が悪ノ国だと思い込まされていたから
   不思議だったけど……あのとき善ノ国だったのは、律だけだったのか……」

憂「そういうことです。
   これで、澪さんのポイントは0となりましたが、私は9です。
   1ゲームで得られる最大のポイントは6……3ゲーム目にそれを獲得できれば、
   私は15Pに達します。次に私が善ノ国を引くことができれば、ほぼ勝利確定でしょうか」

澪「……まだ分からないさ。ここからだって挽回できる」

憂「……」

憂(残念ながら、お姉ちゃんと私は善ノ国しか引きませんけどね……)


-3ゲーム目前インターバル-

唯「和ちゃ〜ん、私の活躍、見てくれてる!?」

和「ええ、憂は頑張っているわね」

憂「えへへ、そうかなあ」

唯「和ちゃん……」

憂「お姉ちゃんも頑張ってるよ!」

唯「だよねぇ、憂〜」

和「あんまり甘やかしちゃダメよ、憂。
   それにしても澪、さっきのゲームは迂闊だったわね。
   このゲームは早ければ3ゲームで終わる……
   だったら、中間となる2ゲーム目は、勝負どころじゃない?」

澪「和は気づいていたのか……?」

和「策のひとつとしては考えていたわ。
   もしかしたら2人ともやるんじゃないかと思っていたけど……」

澪「……」

紬「和ちゃんがゲームに参加していたらどうなるのかしら……?」

律「……純ちゃん純ちゃん」

純「な、なんですか……?」

純(いつのまに名前で……)

律「いや、話す相手がいないものでして……」

純「そ、そうなんですか」

律「そういえば、純ちゃんてトランプたくさん持ってるんだよな?」

純「あ、はい。毎ゲームごとに使う種類を変えていて、
   1つの種類ごとに、3セットずつ持ってます。
   それで、今は5種類持ってます」

律「前言ってたときよりも増えてるなー……」

純「ディーラーを極めたいので!」

律「いや、もう立派なディーラーだと思うぜ私は……。
   それにしても和は、やっぱ頭がいいな」

和「そんなことないわよ。私もこういうゲームが好きなだけ」

律「じゃあ、このゲームの他の作戦も考えてるのか?」

和「うーん、策としては2ゲーム目の憂みたいなことをするのが一番ね」

澪「……」

澪(憂ちゃんのさっきの発言……”私は悪ノ国を引いてしまったので”。
   偶然引いてしまったことを装う発言をした……ということは……。
   私が傷付きカードに気づいていると、憂ちゃんは気づいていない……!

   これならまだいけるかもしれない……!)

-----

F

澪(憂ちゃんは、私が傷付きカードに気づいていると、気づいていない……
   まだいける……!)

-3ゲーム目開始-

純「それでは、2ゲーム目を開始します。
   皆様の国を決定いたしますので、カードを引いてください」

唯「行くぜー!」

憂「行くぜー!」

梓「あ、澪先輩!」

澪「いや、いい。2人を先に行かせるんだ」

紬「いいの……?」

律「……」

純「皆様の国が決定いたしました。交渉@は10分後に開始いたしますので、
   10分以内に交渉相手の名前を用紙に書き、提出してください」

-澪グループ-

梓「澪先輩! 唯先輩と憂は、傷付きカードで善ノ国を選んでいるんですよね?
   だったら、先に引かせたらまた2人は善ノ国……!」

紬「先にその傷付きカードを私達が引けばよかったんじゃないかしら……?」

澪「いや……実は、さっき仕掛けをしたんだ。
   2ゲーム目、梓が悪ノ国を引いて、私が借りただろ? 
   あのとき……あのカードの両サイドに、傷を付けた。憂ちゃんが付けたものと、恐らく同じようにな。
   私達が強引に、憂ちゃん達の前にカードを引いたら、
   何か仕掛けをしたと、憂ちゃんに気づかれる可能性があった」

梓「それであのとき私のカードを……」

澪「ただ、これで傷付きカードは3枚存在することになり……そのうち悪ノ国カードは
   1枚だけ。下手をしたら、結局憂ちゃん達は2人とも善ノ国ということになりかねないが……」

憂「……」

唯「う、憂……?」

梓「うわ、笑顔なのにこっちを睨んでますよ……恐ひ……」

澪「どうやら憂ちゃんが引いたようだな。これで憂ちゃんは、
   このゲームの間、最高でも3Pしか獲得できない」

紬「私達は3人とも善ノ国で……憂ちゃんが恐らく悪、唯ちゃんが善……
   ということは、りっちゃんが悪ノ国ということね」

澪「もちろん、憂ちゃんが演技している可能性もある。
   それも想定して、交渉の方法を考えてあるから、聞いてくれ」


-憂グループ-

唯「う、憂ー…?」

憂「あ、ごめんねお姉ちゃん……」

唯「悪ノ国……」

憂「……澪さんだね……」

憂(私が傷付きカードを仕込んでいたことに気づいていた……たった2ゲームの間に……!
   確かに2ゲーム目は、私は律さんを押しのけるかたちになり不自然ではあったけど、
   あれだけで気づかれるなんて……。

   しかもそれだけじゃなく、逆にカードに傷を付け、悪ノ国を引かせてきた……)

唯「えっと、誰を交渉相手にすればよろしいでしょうか……」

憂「……」

唯「……」

唯(最近の憂は時々恐いなぁ……)

-3ゲーム目・交渉@-

純「皆様の用紙が提出されました。
   交渉内容を発表いたします。交渉@の結果は、このようになります」

自分 ⇒ 相手 を意味する

唯 ⇒ 梓   憂 ⇒ 梓

澪 ⇒ 梓   紬 ⇒ 澪
梓 ⇒ 澪   

律 ⇒ 澪

純「交渉Aは10分後に開始いたしますので、
   10分以内に交渉相手の名前を用紙に書き、提出してください」

-平沢姉妹-

憂「あ……!」

唯「どうしたの、憂……?」

憂「そうか、そういうことだったんだ……」

唯「……?」

-澪グループ-

梓「……憂は、なぜ私を交渉相手にしたんでしょうか?
   憂は恐らく悪ノ国……そして、唯先輩は傷付きカードの善ノ国を
   選んでいるはずなので、善ノ国のはず……唯先輩は憂を選ぶことはできませんが、
   少なくとも憂は、唯先輩を選ぶべきでは……?」

澪「……私達は、なぜ善ノ国であるムギと交渉していないと思う?」

紬「それは、私と交渉しないことによって、憂ちゃん以外の、もう1人の悪ノ国は私であると思わせるため……。
   憂ちゃんを邪魔するのは難しいけど、唯ちゃんは交渉Bで悪ノ国を選ぶことになる。
   ……あ……そういうことね!」

澪「たぶんそうだ、あっちは、唯を悪ノ国だと思わせたいんだろう。
   でも、憂ちゃんが悪ノ国、そして私達3人は善ノ国ということは、
   もう1人の悪ノ国は律で確定……。
   憂ちゃんは、私の戦略でポイント獲得を邪魔されているが、
   ここからの戦いは、いかに自分の国を隠すか……それが重要。
   となると、今までみたいに、グループ内の交渉だからといって、
   必ずしもそのときの交渉相手が善ノ国とは限らない……
   つまり、ポイント獲得は困難になる。

   だから、憂ちゃんはポイントではかなりリードしているものの、
   今後のことを考え、このタイミングから行動に出ているということだろう」

梓「なるほど……憂は油断しないってことですね。
   じゃあ私達の次の交渉相手は、ムギ先輩が私で、私と澪先輩は、
   唯先輩ってことですね」

澪「ああ、ムギを交渉相手に選ばないようにしないとな」

-3ゲーム目・交渉A-

純「皆様の用紙が提出されました。
   皆様の交渉内容を発表いたします。交渉Aの結果は、このようになります」

自分 ⇒ 相手 を意味する

唯 ⇒ 澪   憂 ⇒ 澪

澪 ⇒ 唯   紬 ⇒ 梓
梓 ⇒ 唯   

律 ⇒ 梓

純「交渉Bは10分後に開始いたしますので、
   10分以内に交渉相手の名前を用紙に書き、提出してください」

-澪グループ-

紬「交渉Aは、予想どおりの結果になったわね」

梓「交渉@で、ムギ先輩が澪先輩を選んでいるので、当然といえば当然ですよね」

澪「でもこれで、交渉Bで唯は、悪ノ国である律を選んでしまうはずだ」

紬「そうね、私達のグループでは、澪ちゃんと梓ちゃんは交渉相手になっているけど、
   私は交渉相手に選ばれていない……つまり、グループ外から見れば、
   私は悪ノ国に見える。よって、選ぶことができるのはりっちゃんのみ」

澪「あと、律がどう動くか分からないけど、善ノ国を交渉相手にするとして……
   悪ノ国は律と憂ちゃんだから、3ゲーム目終了時のポイントは、こんなかんじかな」

唯:4P  澪:6P
律:12P 紬:6P
梓:6P  憂:12P

紬「憂ちゃんもそうだけど、りっちゃんが何気に稼いでいるわね……」

梓「4ゲーム目が勝負所……澪先輩が仕掛けた傷付けトリックも、
   もう有効ではないですしね……」

澪「4ゲーム目ではむしろ、悪ノ国が1枚欲しいところだな。
   悪ノ国の奴をわざと交渉相手にし、善ノ国だと思わせる……
   2ゲーム目で憂ちゃんが取った戦略ではあるけど、これは有効なはず。
   さっきも言ったが、ここからはグループ内の交渉であっても信用すべきじゃない」

紬「そうね」

梓「頑張りましょう!」

-3ゲーム目・交渉B-

純「皆様の用紙が提出されました。
   交渉内容を発表いたします。
   交渉Bの結果は、このようになります」


自分 ⇒ 相手 を意味する

唯 ⇒ 律   憂 ⇒ 律

澪 ⇒ 紬   紬 ⇒ 唯
梓 ⇒ 紬   

律 ⇒ 紬

澪(ん……? 唯はともかく、憂ちゃんまで律を選んでいる……?
   律は悪ノ国だ……何か読み違いをしたのか?
   それに律はムギを選んだか……勘がいいな、まったく)

純「3ゲーム目が終了いたしました」

澪(まあいい、これで憂ちゃんのポイントはさっきの予想よりも少なくなった……
   となれば、気を付けるべきは律ということになるな)

憂「澪さん」

澪「……憂ちゃん、今のゲームはお互いいろいろやったが、
   少しだけ私の方がポイントを稼げたみたいだな」

憂「……? 何を言っているんですか?」

澪「……え?」

憂「もう勝負はついたじゃないですか」

澪「……!?」

澪(どういうことだ……!? まさか私は、また読み違いをしたのか……!?
   そうだ……憂ちゃんはもともと9P持っていた……つまり、
   このゲームで6P獲得できたら勝利……。
   でも、6Pを得るには善ノ国じゃないといけない……私から見たら、
   憂ちゃんは悪ノ国を引いたように見えたが……やっぱりあれは演技……?
   あ……演技じゃないとしても、唯とカードを交換する……
   それが可能なことくらい、憂ちゃんだって気づいているはず……!

   いや、だけど、憂ちゃんが交渉Bで、悪ノ国である律を交渉相手にしてしまっている。
   よって、6P獲得は不可能のはず……。

   それすらも読み違いということか!? いったい、どういうことなんだ……!!)

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G

憂「澪さん、もう勝負はついたじゃないですか……」

澪(私は読み違いをしたのか……? ……いったい、どういうことなんだ!?)

憂「カードに傷……それを付けることによって、私達は善ノ国カードを
   引けるようにしていましたが、それに気づいたばかりか、
   それを利用されるなんて……。
   想定していなかったわけではありませんが、
   たった2ゲームでバレるとは思っていませんでした」

澪「……」

憂「おかげで私達は悪ノ国となってしまいました」

澪「……?」

澪(私達……?)

憂「ただ、1つ分からないんですが……私は昨日のリハーサルの後、
   純ちゃんからカードを見せてもらったとき、善ノ国カードの2枚に傷を付けました。
   ですが澪さんは、そういったことはしていませんでした。
   そして、澪グループの方が悪ノ国を引いたのは、1ゲーム目に2枚、
   2ゲーム目に1枚で、3ゲーム目には仕掛けがあったので、
   その2ゲームのうちに、やったということになります。
   ですが、いつ仕掛けをしたんですか……?」

澪「私が憂ちゃんの戦略に気づいたのは2ゲーム目の国決めのときだった。
   そしてそのとき、梓が悪ノ国を引いたから、そのカードに傷をつけた」

憂「やはり、いくら澪さんとはいえ、1ゲームだけで気づくのは不可能ですよね……。
   でも、2ゲーム目の悪ノ国のうち1枚は私が引いていた……
   いつ2枚に傷をつけたんでしょうか?
   いえ、どちらにしろ……4枚ある傷付きカードのうち、
   2枚が善、2枚が悪……お姉ちゃんも私も、そのうちの悪を引いてしまうなんて、
   ちょっと運がなさすぎましたね」

澪「……?
   ……なんというか、要領を得ないんだけど……憂ちゃんは何を言っているんだ?
   私が傷を付けたカードは1枚だけだ……つまり、2枚ある悪のカードのうち、
   傷があるのは1枚だけ。

   それに、憂ちゃんの話を聞くかぎり、やっぱり憂ちゃんは悪ノ国だったんだな?
   じゃあ、憂ちゃんの勝ち……それは起こりえないんじゃ……?
   それと、なんだか唯も悪ノ国だったと聞こえるんだけど、
   3ゲーム目の悪ノ国は、憂ちゃんと律だったはずだ」

憂「え? 私が勝ったなんて一言も言っていませんが……。
   それに、3ゲーム目の悪ノ国は、お姉ちゃんと私です。
   それは交渉結果を見れば明らかだと思うんですが……」

澪「確かに交渉結果だけを見れば、2人が悪ノ国に見えるけど、
   それは憂ちゃんの戦略……私にそう思い込ませるための……」

憂「そんな計画はありませんでした……。
   なんだか話が噛み合っていませんが、とにかく私は、澪さんの計画……
   それに1ゲーム目からやられていました。
   私に澪グループを推理させ、1ゲーム目であえて断定できるように、
   交渉相手を選ぶ……そして私は、澪グループは、澪さん、梓ちゃん、紬さんだと、
   勘違いさせられていました」

澪「勘違いも何も、私が組んでいるのは憂ちゃんの言うとおりだけど……?」

憂「え? じゃあこの結果はどういう……澪さんと律さんは組んでいたんですよね?」

澪「……?」

純「現在の皆様のポイントはこのようになります」


唯:4P  澪:2P
律:15P 紬:3P
梓:2P  憂:12P

純「この結果、律先輩が15Pに達しました。
   よって、同盟ゲームの勝者は、律先輩となります」

澪「え?」

梓「り、律先輩!?」

紬「りっちゃんは悪ノ国……このゲームで勝利するのは不可能なはず……!」

憂「な……なんで皆さんが驚いているんですか……?」

律「……あのさあ、ちょっとひどくないか?」

澪・憂「……!」

律「さっきから聞いてたら、私が勝つのはおかしいみたいじゃねーか。
   私が自分で作戦を立てて勝った……そういう考えはないのか〜?」

澪「律の……?」

澪(ちょっと待て……じゃあなんだ? さっき憂ちゃんが言っていた、
   悪ノ国は唯と憂ちゃん……これが本当だとすると、
   3ゲーム目の流れは……)

○:善ノ国 ×:悪ノ国

交渉@      交渉A      交渉B
×唯⇒○梓 U  ×唯⇒○澪 U  ×唯⇒○律 U
×憂⇒○梓 U  ×憂⇒○澪 U  ×憂⇒○律 U
○澪⇒○梓 T  ○澪⇒×唯 V  ×澪⇒○紬 T
○紬⇒○澪 T  ○紬⇒○梓 T  ○紬⇒×唯 V
○梓⇒○澪 T  ○梓⇒×唯 V  ×梓⇒○紬 U
○律⇒○澪 T  ○律⇒○梓 T  ○律⇒○紬 T

澪(あ……これだと律は6P獲得していることに……!
   律はもともと9Pあったんだ……このゲームで6P獲得で、15Pになる……!)

憂「律さんの計画……? これが全部ですか……?」

律「んー、計画っていうか、2ゲーム目に気づいたからな、傷付きカードの存在に」

憂「2ゲーム目……。あ……あのとき、私はわざと悪ノ国を引き、
   お姉ちゃんは傷付きの善ノ国を引いた……。
   でも、傷付きは2枚あるんだから、もう1枚は誰かが引くことになる……
   もしかして、それを引いたのが律さんということですか?」

律「そう! 私はなんと、気づいてしまったのだっ……!
   ……ただ、それが善ノ国を引くためにやってるものだってのは分かったんだけど、
   澪なのか憂ちゃんなのか、それをやったのがどっちかは分からなかった。
   だからそこで私はっ……和の助けを借りたっ……!」

和「助けたと言っても、2人組は問題点があるから、
   それを克服するために、憂が仕掛けたことかも、って言っただけなんだけどね。
   私は傷のことには気づいていなかったし、ほとんど律1人で暴いたようなものよ」

律「まあでも、それが分かれば、後は結構簡単だったっ……!
   とりあえず私は、運よく2ゲーム目が終わったときに9Pだったっ……
   つまりっ……! あと6Pで15Pに行けたってことだっ……!
   だけど、最初に善ノ国を引けなかったら6Pは取れないし、
   私はグループを組んでいないから、交渉@では悪ノ国と交渉してしまうかも
   しれなかったっ……だが……っ! 
   私はひらめいたっ……その2つを一気に解決する方法をっ……!!」

憂「それが悪ノ国カード2枚に傷を付け、お姉ちゃんと私にそれを引かせること……」

律「まあそうなんだけどな、それだけだと4枚傷付きカードがあるから運ゲーになるだろ?
   だから私は確認したんだっ……純ちゃんにっ……!
   予備のカードがあるかないかっ……
   そうしたら、3セット同じ種類のトランプを持っていることを話してくれたっ……!
   だから私はっ……カードに傷が付いていることを理由に、
   新しいトランプを使うように頼んだんだっ……!

   そして、新しいカードに傷がないか確認させてもらうふりをして……
   悪ノ国カード2枚だけに傷をつけた! これで唯と憂ちゃんは絶対に悪ノ国カードを引くことになる!!

   それによって私はっ……自分が悪ノ国にならないと同時にっ……
   誰が善ノ国で誰が悪ノ国なのか、完全に把握することができたっ……!」

憂「な……!
   じゅ、純ちゃん、カードを新しくしたなんて聞いてないよ!」

純「いや、こんな重要なことだとは思わず……」

憂「純ちゃんディーラー失格!」

純「はうあ!?」

律「まああれだな、ロシアンルーレットのとき梓も言ってたが、
   澪と憂ちゃんが目立ちすぎて、私なんて皆眼中になかっただろうからっ……
   それを利用した結果ってこった!!」

憂「完敗です……律さん……さっきは失礼なことを言ってすいませんでした」

澪「私もだ律……。
   というか私、このゲームはずっと勘違いしかしていなかった……情けない……」

紬「このりっちゃんなら、私ぶたれてもいいわ!」

梓「ムギ先輩はどの律先輩にもぶたれたいんじゃ……」

唯「でもこのりっちゃんは、鼻と顎が尖がっていそうだよ!
   ざわっと!」

純「でぃーらしっかくぅ……しかっくぅ……」

エリ「いやあ、なんかもうすごいや! すごいとしか言えないや!
    賞品としてコーラをあげちゃうよ!」

アカネ「……違うでしょ、賞金5万円、おめでとう」

律「おっしゃー!」

和「……さてと皆、いい時間になってきたわ。
    そろそろ帰ったほうがいいんじゃない?」

澪「……そうだな……というか、いいかげん練習もしないといけないしな……」

唯「えー、ライアーゲーム楽しいよー」

律「そうだそうだー、今私は調子がいいんだー!」

澪「お前ら……いや、私も人のこと言えないんだけどさ……」

和「……ほら、そういう話は帰り道でして」

紬「……そうしましょうか」

梓「はいです」

憂「お姉ちゃん、それじゃあ帰ろうか」

唯「うん! あ、和ちゃんも一緒に……」

和「ごめん、私は少しやることがあるから、先に帰ってて」

唯「そっかー、残念ー……」

澪「じゃあまたな、和」

純「でぃらしかく……」

梓「ほら、帰るよ純!」

和「……」

さわ子「あら? いつの間にか誰もいなくなって……」

和「先生」

さわ子「真鍋さん、どうしたの?」

和「自分の生徒に、お金を賭けてゲームをさせる……
   これ、問題だと思いませんか? 次の生徒会の議題にしていいですね?」

さわ子「え……それは困るわ!」

和「ですよね……じゃあ、頼みがあるんですが……」

さわ子「え……?」

和(……これまでライアーゲームは5戦行って、なんだかんだ私は全部隠れて見ていた……。
   勝者は順に、唯、澪、梓、憂、律……意外と勝者はバラバラだけど、
   それでも常に優位にいたのは、憂と澪……この2人に最も注意しないといけないのは間違いない……。
   さて……準備をしないとね……)


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